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概略
【ロレックスの歴史】
簡単にロレックス マルコーニの歴史を振り返ってみましょう。
「ロレックス マルコーニとは?」と思っている方も多いと思います。
 
ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)の歴史と価値について、アンティーク ロレックス、ヴィンテージ ロレックスの成り立ちを振り返りながら、解説していきます。
マルコーニの中には、「ロレックス マルコーニ スペシャル(ROLEEX MARCONI SPECIAL)」など、マルコーニの中でも少数のみ限定生産された最高位に位置するモデルも存在します。とても奥が深く、面白い世界ですよ。
 
忘れられつつある歴史の銘品、ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)、その実態に迫ります。

(1)アンティーク時計について
ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)の前に、歴史を振り返りながら、アンティーク時計の魅力と価値について語りたいと思います。アンティーク時計、特に腕時計の黎明期を楽しめるのは1920年代、そのピークは1930〜40年代と言われています。職人が腕を競いアンティーク時計を製作した時代であり、現代とは異なる価値、つまり『1品もの』が存在します。
 
当時の状況はさまざまであり、個人で時計工房を営んでいる時計職人、ある程度の規模の工房に属している時計職人など、現代のような画一的な様相ではなかったようです。時代は少し異なりますが、大工職人が優れた時計を作成したとの記録まであるようです。
 
アンティーク時計は、100年近く動いてきた時計であり、メンテナンスして大切に使えば、動き続けてくれます。まさに歴史とともに引き継がれてきた価値ある時計なのです。
 
そこで、アンティーク時計の中でも人気が高い『ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)』を中心として、ロレックス(ROLEX)の歴史と価値を振り返ってみましょう。
 
 
 

参考〜上記【ロレックスの歴史】を更に深めたい方に〜
(2)ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)の成り立ち
『ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)』は1911年にロレックスの創業者であるハンス・ウィルスドルフ(Hans Wilsdorf)によって登録され、1920年代から1940年代まで製造されており、現在でも根強いファンが多く、非常に貴重な価値あるアンティーク時計だと言われています。

『マルコーニ(MARCONI)』は、ロレックスの創業者であるハンス・ウィルスドルフが命名しており、1909年にノーベル物理学賞を受賞したグリエルモ・マルコーニ(Guglielmo Marconi)の名前に由来しています。物理学者であったグリエルモ・マルコーニは、大西洋を横断する無線通信(イギリスからカナダ)に成功し、世界の無線通信時代を開きました。『マルコーニ(MARCONI)』の名は世界に知れ渡りました。
 
ハンス・ウィルスドルフは、『マルコーニ(MARCONI)』の名が持つ知名度、先進性に惹かれ、自社時計のブランディング展開に使用したのです。歴史的な名家や著名な人物の名称を冠した時計を作ることにより、市場にアクセスを試みたのです。
 
結果、『ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)』は成功を収め、ロンドンなどの最高級宝飾店などに並び、宝石と同等の扱いを受けました。多彩なデザイン、細部へのこだわりなど、スイス製の高性能ムーブメントの採用などにより、マルコーニ(MARCONI)はその地位と価値を確立したのです。
 
さらに当時、歴史に輝く繁栄を極めたキューバの首都ハバナにおける最高級の貴金属店『クエルボ・イ・ソブリノス(Cuervo Y sobrinos)』でもマルコーニを取り扱っていました。「スイスのハートにキューバのスピリット」と言われるこの店舗には、ヘミングウェイ、チャーチル、パブロ・ネルーダ、アインシュタイン、カルーソなど、20世紀の著名人たちが訪れており、富裕層を対象にマルコーニ(MARCONI)の特注品が販売されたと言われています。
 
中には、「ロレックス マルコーニ スペシャル(ROLEEX MARCONI SPECIAL)」など、マルコーニの中でも少数のみ限定生産された最高位に位置するモデルも存在します。ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)、まさに往年の富裕層に認められた価値ある最高級時計だったのです。



(3)ロレックス(ROLEX)のブランド展開(初期)
現代において、ロレックス(ROLEX)のブランド力は、スイスにおいてムーブメントなどを設計、開発から製造までを一貫して行う『マニュファクチュアール』として強力に成長し、ブランド力を誇示し、世界中の人々に知られています。「かっこいい」「お金持ち」「エリート」「成功」などの価値あるイメージがあり、王冠マークはあこがれの的となっています。しかし、歴史を振り返ると、戦前の成長・拡大期においては、スイスにおさまらないグローバルかつ多様なブランド展開を行っていました。

1930年代、ロレックス(ROLEX)はある程度のブランド力を確立していたと言われています。時計市場のおいては、パーペチュアル(Perpetual)、オイスター(Oyster)などに代表されるように『スポーツモデル』としての地位を確立していました。しかし当時の時代背景、つまり1930年代は世界恐慌を皮切りとした大不況でした。よって、人々は働くこと、いや仕事を探すことに精いっぱいであり、スポーツモデルの時計は富裕層の価値ある趣向品だったのです。そう、スポーツモデルの時計は当時の情勢から、普遍的なモデルとは言い難い状況でした。まさに歴史的、時代的背景により、市場から求められる時計も変わっていくのです。

そのような歴史的・時代背景もあり、1910〜1920年代には、多くのディフュージョンラインを展開し、ロレックス(ROLEX)はさまざまな手法で市場にアプローチしたのです。ディフュージョンラインとは、ロレックス(ROLEX)としてのブランド価値を維持しながらも、価格を抑えて、より多くの人々への販売拡大を狙う戦略です。その後の1920〜1930年代は、ロレックス(ROLEX)にとってまさに成長期であったといえます。

実際、先程紹介したノーベル物理学賞を受賞したグリエルモ・マルコーニ(Guglielmo Marconi)はイタリア生まれであり、ロンドンで会社を開設しました。『マルコーニ(MARCIONI)』を使用することにより、その名が持つ先進性によってブランド展開を狙ったのです。チュードル(TUDOR)についても、イギリスでの市場拡大を目的にしており、エリザベス1世を輩出したイギリスの王家の一つ『チューダー家』に由来しています。著名な王家の名前をブランド名にすることで、イギリス庶民に親しまれるブランドとして展開することを狙ったのです。



(4)ディフュージョンラインの展開と統合
さて、ディフュージョンラインの展開を理解するには、そもそもロレックスの歴史つまり、その始まりを語らねばなりません。1905年、ハンス・ウィルスドルフは、ロンドンに『ウィルスドルフ&デイビス』(Wilsdorf and Davis)という時計商社を設立しました。その後の1915年、第一次世界大戦の影響により『ロレックス・ウォッチ・カンパニー』(ROLEX WATCH Co.Ltd)に変更しました。

当時、『ロレックス・ウォッチ・カンパニー』は、数多くのディフュージョンラインを展開するグループカンパニーでした。アクア(Aqua)、プリンスドーファン(Prince Dauphin)、ジェネックス(Genex)、オイスター(Oyster)、ロルコ(Rolco)、ソーラー(Solar)、ユニコーン(Unicorn)、チュードル(tudor)などが挙げられ、マルコーニ(Marsoni)は4番目に登録されたと言われています。その他、マルコーニ スペシャル(MARCONI SPICIAL)など、マルコーニの特別モデルも存在します。
 
その後、第一次世界大戦の終結(1918年)、国際連盟の創設(1920年)など世界情勢の変化に呼応して、ハンス・ウィルスドルフは新たなブランドの登録を始めます。その代表例は、ユニコーン(Unicorn)、ロルコ(Rolco)などが挙げられます。その後、マルコーニはユニコーンに引き継がれたと言われており、数多く展開したディフュージョンラインの再編が進みます。
 
ディフュージョンラインの再編は進みますが、1つの時計に複数のラインネーム(『Rolex』『Marconi』『UNICORN』)が使用されている時計もあります。世界記録では、1つの時計に4ライン名が最高だそうです。歴史的に見ても、本当に希少な価値ある時計であり、アンティークロレックス(ヴィンテージ ロレックス)のファンにとって、羨望の的ですね。数多くのライン名が世に出ましたが、統合・廃止などさまざまな変革を経て、1945年の第二次世界大戦の終結とともに、これらのライン名は廃止され、現在はチュードル(Tudor)のみが残っています。

今は無きアンティークロレックス(ヴィンテージ ロレックス)の腕時計、ロレックスのディフュージョンライン、現在は生産されておらず歴史に埋もれた幻の名作時計です。アンティークロレックス(ヴィンテージ ロレックス)のファン、いやアンティーク時計ファンにとって、憧れの時計といえるでしょう。その価値は永遠なのです。
 
 
(5)ディフュージョンラインの生産
マルコーニを(MARCONI)はじめ多くのディフュージョンラインを展開した当初、ハンス・ウィルスドルフ(Hans Wilsdorf)の思惑通りにはいきませんでした。市場拡大するに際して、ジュネーブ(Geneva)のロレックス製造工場では、十分な利益が出るように、かつ市場供給に十分な数の時計を製造できなかったのです。
 
この問題を解決するため、ロレックス(ROLEX)のディフュージョンラインにムーブメント専業メーカーが製作したムーブメントを採用しました。ムーブメント専業メーカーが製作したムーブメントを『エボーシュ(Ebauche)』といいます。当時、ムーブメントを製造できる工場は限られており、多くの時計メーカーは、外部からムーブメントの提供を受けていました。エボーシュに改良を加えたり、新たな機構を加えるなどして、時計メーカーは独自性を発揮したのです。
 
さらに、ケースについても外注されることがあり、時計生産の効率化を図っていたようです。まさに、成長・拡大期にあったオールドロレックスならではの展開ですね。アンティークロレックス(ヴィンテージ ロレックス)に関わらず、アンティーク時計のムーブメントやケースに統一性がないことが多いのは、これらの外注化が要因といえます。しかし、それゆえにアンティーク時計には、現代品にはない個性があり、アンティーク時計マニアの憧れである『一品もの』に巡り合えるのです。アンティーク ロレックス(ヴィンテージ ロレックス)の価値は『世界で唯一』であり、所有することにより、その歴史を堪能できるのです。
 
 
(6)高級ラインとなったマルコーニ
アンティーク ロレックス(ヴィンテージ ロレックス)の歴史を振り返ると、数多くのディフュージョンラインのなかでも、ロレックス マルコーニ(Rolex Marconi)は最高級の価値ある時計として位置づけられ、ごく少数の超高級店でのみ販売されていたようです。マルコーニは(MARCONI)は、一部の富裕層を対象にした超高級時計だったのです。
 
マルコーニ(MARCONI)は、あくまでディフュージョンラインであり、ロレックス(ROLEX)のスタンダードモデルという位置づけではありませんでした。しかし、マルコーニの価格は非常に高価であり、『最高級』を欲する富裕層を対象とした価値ある時計であったため、一品一品の時計に対して、細部までこだわり、その製作には膨大な作業量が投入されました。
 
結果として、『ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)』は成功を収め、ロンドンなどの最高級宝飾店、キューバの最高級貴金属店『クエルボ・イ・ソブリノス』などに並び、宝石と同等の扱いを受けました。そうなのです、ごく少数の店舗でしか購入できなかったのです。
 
マルコーニの中には、「ロレックス マルコーニ スペシャル(ROLEEX MARCONI SPECIAL)」が存在し、少数のみ限定生産された最高位に位置するモデルです。まさに富裕層のための時計ですね。
 
多彩なデザイン、手作りの針、スイス製の高性能ムーブメントの採用、細部へのこだわりなどにより、マルコーニ(MARCONI)はその地位を確立したのです。さらに、他人と同じ時計を着用することを避ける富裕層が、その豊富な財力により自分だけの特注品を注文していたようであり、『この世にただ1つの価値ある時計』が存在します。マルコーニ(MARCONI)は、まさに大成功を収めたのです。
 
しかし、時代の変化とともに、ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)にも小さな問題が生じます。『マルコーニ(MARCONI)』という名称は、1909年にノーベル物理学賞を受賞したグリエルモ・マルコーニに由来しているのですが、時間の経過とともに『マルコーニ(MARCONI)』という名称自体が最先端の時計、つまり富裕層を対象とした最先端のファッションにマッチしなくなったのです。そう、歴史は常に進んでいくのです。このあたりのマルコーニ(MARCONI)の歴史については、日本ではほとんど語られていませんね。
 
 
(7)ロレックス、その後のブランド統合
さて、ハンス・ウィルスドルフ(Hans Wilsdorf)が最二次世界大戦前に登録した数多くのブランドネームを見てみると、ハンス・ウィルスドルは、特にディフュージョンラインの展開について満足した結果を得られず、ブランドとして成立するネームを探し求めていたことがわかります。しかし、オイスター(Oyster)がブランド化することにより、ハンス・ウィルスドルのブランド戦略は功を奏します。
 
ちなみに、一部のディフュージョンラインでは、
・ムーブメントはFHF(Fontmelon)によるエボーシュ
・ケースはSnowite製であり、材質はニッケルを主としてクロムメッキ
というような仕様となっていたようです。例えば、1930年台のロレックスマルコーニには、Sonwite製のケースが使用されていることがあります。
 
しかし、歴史を振り返っても、これらの事柄はロレックスのブランド力、その価値を損なうことはなく、ロレックスとディフュージョンラインの棲み分けこそが重要だったのです。
 
マルコーニ(MARCONI)を始めとするディフュージョンラインは大量に生産されましたが、第二次世界大戦終了と同時にほとんどのディフュージョンラインは廃止されました。
 
その後、現在まで連なるロレックス(ROLEX)のブランド展開が始まるのです。ディフュージョンラインの廃止と新たなブランド展開、価値の創造など、まさに我々が知るロレックス(ROLEX)の歴史の始まりです。
 
 
(8)ロレックス マルコーニの細部について
先程、ディフュージョンラインにおける外注化について記載しましたが、ロレックス マルコーニ(ROLEX MARCONI)についても解説していきます。ただし、ロレックスのディフュージョンラインのなかでも最高級となったマルコーニは、そのランクに相応しい装備が施されます。
 
簡単にマルコーニの特徴を記載すると、
・スイス製の高性能ムーブメントの採用
・ムーブメントにROLEX, MARCONIのロゴあり
・ケースは外注(Sonwite製など)
・ステンレススチール(SS)のケースが多い。一部には、ニッケルのクロムメッキ
・裏ブタ『SAR S.W.C LTD SWISSの』刻印
などが挙げられます。
 
いずれにせよ、往年の富裕層の需要に答えるため、細部まで作り込み、デザインは多様となっていきます。中には、レクタンギュラー(四角の時計)も作成されました。レクタンギュラーは非常に手間がかかる時計であり、当時としては極めてチャレンジングな時計でした。レクタンギュラーの価値と歴史については、後述いたします。
 
いずれにしても、世界の富裕層から愛された価値あるロレックス マルコーニ、その素晴らしいデザインと性能により、大成功を収めるのです。
 
 
(9)1920〜30年代のロレックス(ROLEX)の補足
さて先程、一部のモデルではムーブメントやケースが外注されていたと記載しましたが、実際には、同じ型のRef(レファレンス)でも異なったモデルが多数存在しています。ケース、素材、文字盤も異なるのですが、Refは同じというモデルも存在します。
 
1920〜1930年代は、ロレックスにとって拡大期ということもあり、同じRef(レファレンス)でありながら、その用途によりラインネームを変更し、より幅広いマーケットの獲得戦略に出たのです。
 
実際、『ロレックスのスタンダートライン』と『ディフュージョンラインであるマルコーニ』とは親和性が高く、同じようなデザインのモデルも存在します。マルコーニは多様でユニークなデザインが特徴であるため、一見しただけでは判断できないこともあります。
 
歴史的に見ても、当時は第一次世界大戦終了後の『怒涛の20年代』と言われるとおり、世界がアメリカ経済を中心として動き出し、アメリカに向けた貿易に傾注していく時代です。ロレックスも敏感に流行をとらえ、同じようにアメリカ進出を計り、成長戦略を描いていくのです。
 
 
(10)デイジャスト(DATEJUST)、チュードル(TUDOR)の誕生
さて、更にアンティーク ロレックス(ヴィンテージ ロレックス)の歴史を進めましょう。
 
第二次世界大戦が終了した1945年、ロレックス(ROLEX)は、記念すべきこの年に価値ある代表モデルを発表します。そう、デイジャスト(DATEJUST)です。それと同時に、チュードル(Tudor)により、ロレックスより低価格な市場に対する最後のチャレンジを敢行します。その後、ご存じのとおりチュードル(TUDOR)はロングセラーとなり、特に活発なナイフワークを過ごす人々(例えば警察官など)に愛されました。彼らはそのライフスタイルから、丈夫で正確な時間を刻む時計を求めたのです。
 
 その他、プリンス(PRINCE)、インペリアル(IMPERIAL)やロイヤル(ROYAL)など、日本でも知名度が高いロレックスの歴史的スタンダード―ドモデルが誕生します。
・プリンス(PRINCE)は、ロレックス唯一の四角い時計であり、この特殊性によりロレックスファンを惹きつけます。一見しただけでは、ロレックスだと分からない人も多いでしょう。
・インペリアル(IMPERIAL)は『ロレックス オイスター インペリアル(ROLEX OYSTER IMPERIAL)』で知られていますね。
・ロイヤル(ROYAL)は皆さんご存じ、ロレックスの王冠マークに象徴され、現在でも人気がある代表モデルです。1960年代まで製造されました。
 
このようにロレックス(ROLEX)は、マルコーニを代表とする戦前のディフュージョンから脱却し、第二次世界大戦後の世界にふさわしい新たな価値創造、ブランドの展開へと成長していくのです。
 
 
(11)アンティーク時計のオリジナル性について
前述したように、当時、多くの時計メーカーはムーブメントやケースなどを外注していることが多く、それゆえに一品一品に個性があり、ムーブメントやケースが異なることが多いのです。よくお客様から、「この時計はすべてオリジナル?」「改造されていない?」という質問を受けることが多いのですが、そもそも「オリジナルとは何?」ということになります。製造当初からムーブメント、ケース、文字盤、針・・・など他社製品を採用し、厳密にいえば、そもそも現代製品のような画一性はないのです。約100年前に生産されたアンティーク時計、長い歴史の中で、一度も壊れていないと考えることが不自然であり、何らかのカスタマイドを受けていると考えるのが普通です。
 
海外の知人ですが、アンティーク時計業界で5指に入る世界的時計ディーラーがいます。アンティーク時計のオリジナル性について尋ねたところ、「その質問が無意味だ」と回答されました。逆に、販売当初の箱、証明書付きのアンティーク時計も存在し、その来歴(歴史)は証明されます。ただし、価格は通常の5倍以上であり、一方で時計内部はフルオリジナルとは限りません。
 
海外で1970年代以降のロレックスを扱っている時計ディーラー、知人の一級時計修理技能士、創業100年近い時計部品の卸売り専業業者、『時計業界の人間国宝』と言われるレジェンドの時計修理士など、さまざまな方々に当ショップが扱っている時計について意見を聞きましたが、答えは一貫しています。「立派な価値あるアンティーク時計。歴史を感じる時計。半世紀以上も経過したならカスタマイドは当たり前」でした。長い年月を経てオーバーホールする際も、似たようなムーブメントから部品を流用することが多く、そもそもオリジナルとはいえません。
 
時計修理士にアンティーク時計の修理を依頼する際によく言われる言葉です。「部品さえあばれ直せる。」この言葉が表すように、部品は消耗品であり、時間の経過とともに交換されていくのです。アンティーク時計の部品については、すでに生産終了していることが多いので、先述した「創業100年近い時計部品の卸売り専業業者」などから取り寄せることになります。在庫部品がなければ、型を起こして製作することになります。
 
『証明書付き(もしくは来歴が判明)、カスタマイドされていない』アンティーク時計は、もはや芸術品の域であり、ヘリテージオークション(Heritage Auctions)など世界の一流オークションで出品されています。そのようなオークションで購入した場合は、世界に通用する鑑定書(納品書と購入履歴、オークション側の顧客登録、来歴の証明)がつきますので、世界中に証明力を持ちます。『証明書付き(来歴)、ノーカスタマイド』というアンティーク時計の『世界的なお墨付き』が与えられ、まさに、世界の富裕層が争う一級品の歴史ある投資対象、価値ある時計なのです。ややアンティーク時計の楽しみ方とは一線を画します。
 
 
 

※番外編 さまざまなロレックス マルコーニ
さて、今まではロレックス マルコーニを中心として、アンティーク ロレックス(ヴィンテージ ロレックス)の歴史を振り返りながら、その価値に迫りました。今後は、番外編として、マルコーニの様々なモデルについて解説していきます。
 
 
(12)ロレックス マルコーニ レクタンギュラーについて
マルコーニはラウンド型(丸形)が多いなか、レクタンギュラー(四角の時計)も作成されました。レクタンギュラーは、当時としては極めてチャレンジングな時計でした。戦後、アメリカにおいて『曲線的であるほど愛された時計』、レクタンギュラーについて解説します。
 
レクタンギュラーは、当時、流行したアールデコの特徴である幾何学的デザインが採用されており、その製作には、かなり手間がかかります。大きく分けて、正方形の時計と長方形の時計が存在します。
 
当時のムーブメントの主流はラウンド型(丸形)であり、四角いケースだとデッドスペースが生じます。このことから、四角い文字盤の時計はチャレンジングかつ最先端であり、極めて貴重な時計でした。
 
さて、少し掘り下げてみましょう。先程、当時の主流はラウンド型(丸形)ムーブメントだと言いましたが、中にはスクエア型(長方形)ムーブメントが採用されているモデルもあります。まさにレクタンギュラー専用設計ですね。当時の時計業界にとって、スクエア型ムーブメントは規格外であり、現在の市場でもほとんど見かけません。見つけたら、即買いの価値ある時計ですよ。
 
レクタンギュラーの中には、極端に縦長であり、風防は曲線を描き、力強さを感じるデザインのものがあります。通常の時計のマルコーニとは、明らかに一線を画するモデルであり、往年の富裕層による特注生産ですね。
 
中には、アンティーク時計の定番スモールセコンドを敢えて採用しないデザインしないレクタンギュラーもあり、シンプルな中にもゴージャスな雰囲気を醸し出す逸品です。
 
その後、WW?前後のアメリカにおいて、レクタンギュラーは大流行しました。縦長かつ風防が曲線を描くモデルが高級とされ、大人気となりました。各時計メーカーは競ってレクタンギュラーを市場に投入していきます。より縦長に、より細長く、より曲線を描くように・・・まさにアンティーク時計ファンの醍醐味ですね。
 
「これぞアンティーク時計」といえる定番デザインのレクタンギュラー。腕にはめると、手首にフィットするとともに、驚くほどカッコいいです。当ショップのお客様からも「あまりにカッコいい」とご好評をいただいております。
 
 
(13)ロレックス マルコーニ スペシャルについて
オールド・ロレックス(Rolex)の中でも、最高位に位置するマルコーニ(Marconi)。そのなかでも、少数のみ限定生産された伝説のロレックス マルコーニ スペシャル(ROLEX Marconi Special)というモデルが存在します。
 
当時、繁栄を極めたキューバの首都ハバナにおける最高級の貴金属店『クエルボ・イ・ソブリノス(Cuervo Y sobrinos)』でも、最高級時計としてマルコーニを取り扱っていました。「スイスのハートにキューバのスピリット」と言われるこの店舗には、ヘミングウェイ、チャーチル、パブロ・ネルーダ、アインシュタイン、カルーソなど、20世紀の著名人たちが訪れており、富裕層を対象にマルコーニ(MARCONI)の特注品が販売されたと言われています。
 
このように、往年の富裕層を対象として特注された特別モデルに、ロレックス マルコーニ スペシャル(ROLEX Marconi Special)というロゴが入ることが多いようです。その名のとおり、スペシャル(SPECIAL)=特別なのです。
 
画一的なロット生産ではなく、一品一品の手作り、入念な作り込み、細部にまで気を使ったデザインなど、店長の経験上も素晴らしい時計が多いです。インデックスの形状、レールウェイトラック、針の形状・・・こだわりが感じられ、「他の一緒」を嫌う富裕層に向けた逸品であることが容易にわかります。
 
まさにロレックス マルコーニ スペシャル(ROLEX Marconi Special)は、限定的かつ敵別的に生産されたモデルであり、ロレックス(ROLEX)にとって最重要な顧客に対してのみ販売された時計なのです。最高級の時計として確固たる地位を固めたのです。
 
まさに、ロレックス マルコーニの頂点に君臨する時計の1本といっても過言ではありません。『世界に1本だけ』という時計が多く、あなただけの特別な1本が見つかることでしょう。

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